11月12日に発売したゲーム『天穂のサクナヒメ』を早速クリアしたので、レビューします。クリア時間は20時間程度でした。
本作は稲作要素がかなりガチ寄りということが話題になり、売り切れ続出するほどの作品となっていますね。本記事では天穂のサクナヒメをコアゲーマー寄りの観点でレビューします。
総評
発売前のトレーラー等から受けた印象を良い意味で大きく超えてくる作品ではありましたが、主にアクション面で惜しい点が目立ち、もう一声欲しかったかなと感じました。
ただし、インディーゲームという括りの中で本作を評価すると明らかに頭一つ抜けている完成度かと思います。
また、米作りというコンセプト、キャラクター、BGMなどが世界観に凄くマッチしており、期待通り和風ゲー感を強く味わうことができたので、その手のゲームが好きな方は間違いなく買って損はしないかと思われます。
良かった点
やはり稲作パートの作り込みの凄さは外せませんね。これに関しては今更説明するまでもないでしょう。当たり前のように聞いたこともない病気や雑草の名前が稲のステ欄にあり、中盤までロクにゲーム内で説明もされないので手探りで稲作を進める楽しさがありました。一筋縄では良い米が作れないように設計されている分、納得のいく新米が完成した時の達成感は凄まじいです。
米作りパートは単純な作業が多く、慣れてくると若干億劫に感じてくるのですが大抵そのタイミングで新しい農具や技が解禁されて少し楽になったり、種籾選別などの新しい育成要素が解禁されるので、プレイヤーが飽きないように工夫されていると感じました。
自堕落な生活を送っていたサクナヒメがヒノエ島での生活を経て立派に成長していくストーリーも、王道ながらツボを押さえていて気持ちよくゲームを進めることができました。牧場物語的な温かい雰囲気を感じるゲームなのに、割と過酷な展開も多かったのは意外でしたね。
悪かった点
このゲームは『アクトレイザー』のように2Dアクションパートと米作りパートを切り替えて進めていくのですが、アクション部分のバランスが少し大味かなと思いました。羽衣アクションを絡めた戦闘は爽快感こそありますが、ぶっちゃけた話「レベルを上げて物理で殴る」ことが大正義のバランスです。
「米は力だ」というキャッチフレーズの通り、困ったら米収穫してステータスを上げれば基本何とかなります。これは特にステータスの低い序盤で顕著です。米を育てないとすぐに与ダメ1になるので、アクションがどれだけ上手かろうとシンプルに詰みます。(※敵同士を衝突させればダメージ通るので完全に詰んでいるわけではないですが...)
上記は極端な例ですが、苦戦した敵が米1回収穫すればただの雑魚に成り下がるぐらいのことは日常茶飯事です。「一見操作複雑そうだけど、結局米食って強スキル擦っとけば楽勝だな」という序盤に抱いた印象はゲームクリアまで進めても覆ることはありませんでした。
アクションも普通に楽しいのですが、米作りパートの作り込みと比較すると「普通の2Dアクション」の域を抜け出せていないかなというのが率直な感想です。
米作りパートに関しては、純粋に試行錯誤が楽しく特に不満点はありませんでしたが、終盤になっても田植えと田起こしはあまり楽にならなかったことは少し気になりました。あと害虫と病気対策の農書はもう少し解禁早くても良かったんじゃないかな~と思います。プレイヤー独自にリアルwiki等で対策を調べてもらう前提で、農書はあくまで答え合わせということなのでしょうか?
クリア後のやり込み要素
本作はクリアデータをセーブし、それをロードすることでアイテムなどのデータを保持した上でラストバトル直前に戻されるタイプのゲームです。
やり込み要素に関しては、品質の高い米を作ることと、100層以上ある敵との連戦専用ステージを突破することぐらいでしょうか。本編クリアの段階では未回収の伏線もあったので、もしかすると何かしら仕込んであるのかもしれませんが現状では不明です。